なぜ写真は「素人感」が出てしまうのか

「なんとなく安っぽく見える」「プロの写真と何かが違う」という違和感の正体は、意図しない光の乱れと背景のノイズにあります。
自社の商品や作品をスマートフォンで撮影してみたものの、どうしても素人っぽさが抜けないとお悩みではありませんか?写真に素人感が出てしまう原因は、主に「光の向き」と「情報の混雑」にあります。
カメラのレンズは人間の脳の補正機能とは異なり、目の前にあるものをすべて等しく、無機質に画面内におさめます。そのため、意図しない部屋の蛍光灯の反射や、背景にある不要な生活感がそのまま写り込んでしまうこととなります。
実は、商品の魅力が十分に伝わらない写真をそのまま使い続けると、競合サイトと比較された際に「安価な商品である」と誤認され、ブランド価値を大きく下げてしまうリスクがあります。しかしながら、写真が構成される基本的なメカニズムを理解することで、この違和感を取り除くことが可能です。
プロの仕上がりに近づけるための3大要素

プロのような仕上がりを実現するには、「光」「背景」「構図」の3つの要素を整え、意図的にコントロールする方法が最も近道となります。
高価なカメラ機材や大掛かりな照明を買い揃えなくても、基本的な環境を整えるだけで写真のクオリティは劇的に向上します。ここでは、明日からすぐに実践できる即効性の高い3つの要素について解説します。これらをひとつずつ見直すことで、誰でも清潔感のあるシズル感(購買意欲をそそる魅力)を引き出すことが可能です。
自然光を味方につけるライティングの工夫
商品の撮影において、最もコストがかからず、かつ劇的に質が変わるのが「自然光」の活用です。まずは、晴れた日の午前中からお昼にかけて、明るい窓際で撮影をおこなうことをおすすめします。室内の照明(蛍光灯や電球)はすべて消し、太陽の光だけを利用するのが基本の形となります。
ただし、直射日光をそのまま商品に当ててしまうと、強い影ができ、白飛び(明るすぎる部分の色や階調が失われる現象)の原因となります。したがって、窓と商品の間に薄手のレースのカーテンを引き、光を拡散(ディフューズ)させる環境をつくるのが安心です。光が柔らかくなることで、商品のディテールや質感がはっきりと浮かび上がります。
光の当たる方向によっても、商品の見え方は以下のように変化します。
〇順光(正面からの光)
形ははっきり写りますが、のっぺりとした平坦な印象になりやすいため注意が必要です。
〇半逆光(斜め後ろからの光)
商品の立体感や表面の質感が最も綺麗に出るため、商品撮影において特におすすめします。
〇サイド光(横からの光)
陰影が強く強調され、クールでドラマチックな雰囲気となります。
商品を際立たせるための背景選びと整理
商品の魅力を正確に、かつ魅力的に伝えるためには、画面内のノイズを極力減らす「引き算」の考え方が求められます。背景に生活感のある家具や不要な小物が少しでも写り込むと、お客様の視線が分散し、商品そのものの印象が薄れてしまうためです。手軽に清潔感を演出するには、大きめの白いケント紙や模造紙を背景として活用することをおすすめします。
壁からテーブルにかけて緩やかなカーブを描くように紙を設置(背景紙としてテープ等で固定)することで、空間の境目となる角の線が消え、商品だけが空間に浮かび上がるようなプロ仕様の背景となります。
また、ブランドのコンセプトに合わせて背景の素材(木目調のボードや色紙など)を統一することで、ショップ全体のデザインに一貫性が生まれ、お客様に安心感と高級感を与えることができます。
安定感を与える構図とアングルの基本
写真を見たときに感じる「心地よさ」や「バランスの良さ」には、視覚的なメカニズムが存在します。最も失敗が少なく、安定感を生み出す型が「三分割法」です。画面の縦横をそれぞれ3等分に分割し、その線が交わる4つの交点のいずれかに、商品の主役となる部分(ロゴや特徴的なパーツなど)を配置します。スマートフォンやカメラの設定で「グリッド線」を表示させておくと、直感的に位置を合わせやすいためおすすめです。
また、撮影する高さ(アングル)も仕上がりを大きく左右します。商品を上から見下ろすようにとるのではなく、商品の目線の高さ(アイレベル)までカメラを下げて水平にとることで、ゆがみの少ない自然な形をおさめることができます。さらに、スマートフォンの広角レンズは画面の端が伸びてゆがむ特性があるため、商品に近づきすぎるのではなく、少し離れた位置からズーム機能(光学ズーム)を使用してとる方法が安心です。
スマートフォン撮影を「商用レベル」に引き上げる設定

スマートフォンの標準機能を正しく設定するだけで、手軽に商用レベルのクリアな画像を生み出すことができます。ターゲットの多くがスマートフォンでECサイトを閲覧する現在、スマートフォンでの撮影は理にかなった手法と言えます。しかしながら、カメラ任せのオート設定では、商品の魅力が半減してしまうことがあります。以下の設定を見直してみてください。
〇露出補正(明るさ調節)
画面内の商品を指でタップし、太陽のマークを上下させて明るさを適切に調整します。白い背景や白い商品は、カメラが「明るすぎる」と誤認識して全体を暗く写してしまう傾向があるため、手動で少し明るめに補正することをおすすめします。
〇ポートレートモードの活用
背景をぼかすことで、一眼レフカメラで撮影したような奥行きと立体感を演出できます。ただし、商品の輪郭までぼやけてしまう不自然な仕上がりになることがあるため、ぼかしの強さ(被写界深度)は控えめに設定するのが安心です。
また、撮影後の画像編集アプリやフィルター加工に頼りすぎると、実際の商品と色や質感が大きくかけ離れてしまうリスクがあります。過度な加工はクレームの原因にもなります。加工は明るさやコントラストの微調整にとどめ、あくまで「撮影時の設定」で質を高めるアプローチをおすすめします。
自社撮影の限界とプロに依頼すべきケースの境界

すべての商品を自社で撮影する労力と、プロに外注する費用対効果を天秤にかけ、明確な境界線を設けることをおすすめします。ここまでご自身で撮影するコツをお伝えしてきましたが、機材や技術の面でどうしても自社撮影が困難なケースが存在します。無理に自社で対応し続けると、試行錯誤に多大な時間を奪われ、結果としてショップ運営の効率(タイムパフォーマンス)を下げてしまうこととなります。プロに依頼すべき難易度の高い商品の具体例として、以下のようなものが挙げられます。
外注を推奨する商品・ケース
〇反射物(鏡、ガラス、金属)
周囲の部屋の景色や撮影者がそのまま商品に写り込んでしまうため。高度なライティング機材と、不要な光を遮る環境(暗室など)が必須となります。
〇貴金属・ジュエリー
小さな傷や埃が目立ちやすく、宝石の輝きを正確に引き出すための繊細な光のコントロール(マクロ撮影)が求められます。
〇大型家具・アパレルの着用画像
広い撮影スペースが必要であり、またモデルの手配や空間全体の均一な照明設定が素人では困難と言えます。
したがって、ショップの顔となるトップページの「メイン写真」や、反射の激しい商品はプロの撮影サービスに依頼し、SNSでの日常的な発信や商品の細部を伝える「サブ写真」は自社でとる、といった使い分けをおこなうのが最も効率的です。
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効率的なショップ運営のために今できること

商品撮影における自社と外注の線引きをおこない、売上を伸ばすためのコア業務に時間を投資する判断が求められます。商品の魅力を写真で最大限に伝えることは、ECサイトの滞在時間や成約率(CVR)の向上に直結します。
実は、写真の質が上がるだけで、「少し高くてもここで買いたい」という信頼に繋がり、競合との価格競争から抜け出すきっかけになることも少なくありません。
まずは、記事内でご紹介した「窓際での自然光撮影」を、お手元の商品でひとつ試してみてください。光の向きや背景の整理を意識するだけで、見違えるような1枚がとれるはずです。その上で、自社の全商品リストを見直し、「自分たちで工夫してとる商品」と「プロに任せて確実にクオリティを担保する商品」の振り分けをおこなうことをおすすめします。
すべてを自社で抱え込むのではなく、プロに頼んだ場合の売上の伸びと、ご自身で悩む時間のロスを比較し、最適な経営判断の材料としてください。
よくある質問
商品撮影に関して、初心者の方が迷いやすい機材選びや色味の調整について解説します。撮影環境を整える過程で生じる細かな疑問について、あらかじめ知っておくことで失敗のリスクを大きく軽減できます。
Q)撮影キットは安価なものでも効果がありますか?
A)インターネット上で販売されている数千円程度の撮影ボックス(照明付きキット)の購入を検討されたことはないでしょうか?結論から申し上げますと、背景を白く整理し、生活感を排除する目的においては一定の効果があります。
しかしながら、安価なLED照明が内蔵されたキットは、光の質(演色性)が低いケースが多く見受けられます。演色性が低いと、人間の目で見たときの色合いと写真に写る色合いが異なり、全体的に青白く、不自然な仕上がりになるリスクがあります。そのため、まずは特別な機材を購入する前に、ご自宅やオフィスの窓際で自然光を活用した撮影から練習を始めることをおすすめします。
Q)商品の「実際の色」を正しく伝えるにはどうすればよいですか?
A)通信販売において、「写真と実物の色が違う」というクレームは最も避けたいトラブルのひとつです。カメラのセンサーは光源の色(太陽光か、蛍光灯か、白熱灯か)によって、白いものを正しく「白」として認識できないことがあります。
これを防ぐためには、カメラの「ホワイトバランス」という設定を適切に調整するか、撮影時に基準となるグレーカード(色の基準となる専用のカード)を一緒に写し込んでおく方法が安心です。
また、お客様が閲覧するスマートフォンやパソコンのモニター環境によっても、見え方にはどうしても差異が生じます。したがって、写真の色味を実物に近づける努力に加えて、商品ページには「※お使いの端末環境により、実際の色味と多少異なる場合がございます」といった説明文をあらかじめ添えておくことをおすすめします。商品の色を正確に伝える工夫は、お客様の信頼を獲得し、返品率を下げるための重要なステップと言えます。